今回お話しする三世代家族とは、
- 祖父母
- 子供
- 孫
という三世代が一緒に暮らしている家族のことを言います。
ちなみに、二世帯住宅というような「世帯」という言葉もよく使用されますが、
世帯の数は「生計を共にしているか否か」で決まると定義されていますので、
例えば、祖父母、子供夫妻、孫の三世代が一緒の生計の中で暮らしている場合、
それは「一世帯家族」です。
すなわち二世帯家族とは、住居は共有している部分があるものの、
生計は別々にしている二世帯が一緒に暮らしている家族のことを言います。
そして今回は、祖父母、子、孫がともに暮らす三世代家族について、
その割合のこれまでの推移について解説いたします。
三世代家族の割合の推移について
まず結論から言って、三世代家族と呼ばれる家庭の割合は、ここ数十年の間に徐々に減少しつつあります。
厚生労働省発表の調査データ
「平成 25 年 国民生活基礎調査の概況」によると
三世代家族の割合は、1986年(昭和61年)~2013年(平成25年)までの間に、以下の表に示すような推移で変化しています。
年次 | 三世代世帯 |
1986年 | 15.3% |
1989年 | 14.2% |
1992年 | 13.1% |
1995年 | 12.5% |
1998年 | 11.5% |
2001年 | 10.6% |
2004年 | 9.7% |
2007年 | 8.4% |
2010年 | 7.9% |
2013年 | 6.6% |
(出典:平成 25 年 国民生活基礎調査の概況)
これを見る限りでは、1986年から2013年という約20年間の間に、
三世代家族の割合は約10%近く減少したということが分かりますが、
実はこれは、その数値がそのまま同居率の減少につながっているわけではありません。
三世代家族の減少と同居率の関係について
先ほどの推移を見る限りでは、ここ約20年の間に、
親と同居をしている家庭がみるみる減少していき、家族の形態に変化が生じているというような印象を受けてしまいますが、
実は、一概にそうとは言えない調査結果が出ています。
というのも、実はここ数十年の間に、
そもそも子供を持たない夫婦の割合が増加したのです。
すなわち、三世代家族の減少という言葉は、
表面上は親と一緒に住みたくない夫婦が増えたという印象を受けてしまいますが、
そもそも子供を持たない夫婦が増えたこともまた、その三世代家族の減少につながっています。
2014年には、日本大学と東京大学との共同で
「 同居率減少という誤解」と題した論文が報告されており、
その中で、以下のような解説があります。
高齢者世帯におけるチャイルドレスの割合は、2001年から2010年の間に7.9%から15.7%へと8%ポイント増加した。2010年時点でチャイルドレス世帯数は約300万世帯、うち独身チャイルドレス高齢者数は約145万人と推計される。一方で子供のいる高齢者における子との同別居状況(同居率)は、この期間でほとんど変化していなかった。
引用元: 同居率減少という誤解
もちろん、これが三世代家族の割合の減少のすべての原因というわけではなく、
親との同居をしたくないと思う方が増えていることもまた事実でしょう。
しかしその背景には、少子高齢化が進行し、
そもそも子供を持たないという家庭も増えているという事実が重要なポイントとなるようです。
ここ数十年における「変化」とは?
現在70歳以上の方々の世代では、子供は各家庭ごとに沢山いるのが一般的でした。
皆さんのご家庭の祖父母世代の方々でも当てはまると思いますが、
実際私の祖父は8人兄弟で、祖母も7人兄弟です。
また、1950年ごろの合計特殊出生率(女性が一生の間に産む子供の数の平均)は4人を超えていましたが、
現在の合計特殊出生率は1.3~1.4人程度であり、ここ半世紀の間に、女性が生む子供の数は随分と減少したのです。
また、これはあくまで平均ですので、
先ほど申し上げましたように、そもそも子供を持たないという夫婦も増加しました。
また、高度経済成長に伴い、仕事の内容が大きく変化した他、
親から自立する人が増えたこと、都市部に勤務する人の割合が増えたことも確かです。
ちなみに、1960年からの約半世紀の間に、農家の数は約半数となりました。
また、女性の社会進出も進み、専業主婦が当たり前ではなくなってきている他、
医療が発達したことによって、子供の手を借りなくても元気でいられる高齢者の割合も増えました。
このように、ここ半世紀は、まさに日本人としての暮らしが大きく変化した重要な数十年間だったのです。
そのため、三世代家族が減少したことは、何か1つの理由によるものではありません。
まとめ
今回の記事では、三世代家族の割合の推移についてまとめました。
「三世代家族の減少」という言葉は、
日本人としての家庭のあり方が失われていことを示す、少し悲しい出来事のようにも感じられてしまいますが、
実際は、その表面的な部分だけが変化してしまったわけではなく、
そもそも、日本人としての生き方の価値観がそれだけ変化しているということなんですね。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)