「叔姪婚(しゅくてつこん)」とは現在あまり耳にすることはない言葉ですが、
この意味は例えば、
「叔父」と「姪」の関係にある2人が結婚することを言います。
またそれと同様に、
「叔母」と「甥」の関係にある2人が結婚することも併せて叔姪婚と言います。
基本的に叔父と姪の関係にある2人は年齢が離れているものですが、日本の長い歴史の中では以前は当たり前のように叔姪婚が行われていました。
それでは現在の日本の法律ではいったいこの結婚についてどのように定められているのか、叔姪婚の詳しい意味とともに解説いたします。
叔姪婚(しゅくてつこん)の意味とは?
まず、「叔姪婚(しゅくてつこん)」の意味自体は先ほども申し上げましたように
「叔父」と「姪」の関係にある2人が結婚することを言います。
基本的にその叔父と姪という間柄にある2人は年齢が離れているものですが、
例えばあなたが男性として生まれた瞬間に、18歳年上の兄弟姉妹が女の子を生めば、
叔父と姪で同い年ということになりますので、これはあり得ない話ではないですよね。
実際に、2000年代にも叔父と姪との間柄で実質的に夫婦として暮らしていた方はいたようです。
ただし、「実質的」というところからわかりますように、
実際に現在の日本の法律では叔父と姪の間柄にある2人が法律婚をすることは認められていません。
それでは次に、現在の日本の法律による婚姻に関する定義についてみてみましょう。
結婚に関する日本の法律について
以前の日本では、叔父と姪同士で結婚するということは度々あったようで、特に皇室関係者の中ではそういった近親者同士での結婚が行われていました。
しかしそれは、1890年代(明治時代)に定められた民法によって禁じられ、以降叔姪婚の風習は徐々に失われていきました。
しかし、その法律では内縁関係までは禁止しませんでしたので、つい最近までは内縁同士ですが叔父と姪とで実質の夫婦関係を築いていた方もいらっしゃったようです。というより、現在もごくわずかにですがいらっしゃるようです。
そしてそんな叔姪婚が禁止されることになった実際の法律についてですが、その事項については民法734条に次のように記載されています。
第七百三十四条
直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。(後略)
引用元:民法
ここで「直系血族」とは、あなたと縦に血の繋がりのある人物のことを言い、
例えば、父母、祖父母、曾祖父母、高祖父母などの関係にある人物とは、どれだけ離れても結婚できません。
そして、重要なのはその次の「傍系血族」であり、こちらはあなたから見て枝分かれした関係にある血族のことを言います。
例えば、兄弟姉妹、おじおば、おいめい、いとこ、はとこといった関係にある方々です。
そして、その内3親等内の関係にある傍系血族とは、法律によって結婚できないことになっています。
ではここで、あなたから見てどの親戚が何親等にあたるのか、実際の家系図を見てみましょう。
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こちらの図では、あなたから見て血族にあたる人物を青で示しています。また、その上の数字はあなた(本人)から見た親等を示しています。
これを見ると、あなたから見ておじおばは3親等に該当する血族ですので、民法の定義より結婚できないということが分かりますよね。
しかし、その子供は4親等ですので、例え傍系血族であっても結婚することが出来ます。
そのため、現在もいとことの結婚は法律上可能ということになります。
最後に
今回の記事では、叔父と姪同士が結婚する叔姪婚(しゅくてつこん)の意味と、それを禁止する日本の法律についてご紹介しました。
ちなみに、あなたから見て親の男の兄弟を「おじ」と言いますが、
- あなたの親の兄のことは「伯父」と書き、
- あなたの親の弟のことは「叔父」と書きます。
そのため伯父は少なくとも親よりも年上ですが、叔父はあなたと同い年か、もしくは年下になる可能性すらあります。
例えばあの国民的アニメ「サザエさん」では磯野ワカメ(9)とフグ田タラオ(3)は叔母と甥の関係にありますが、わずか6つしか年齢が離れていません。これなら、結婚したいとなっても不思議ではありませんよね。
そのためおそらくこの先も、内縁関係で叔姪婚をされる方はいらっしゃるかもしれませんね。
ちなみに2007年には、内縁関係にある叔父と姪において、もしも叔父が亡くなった場合に姪が遺族年金の受給者となることが出来るかという裁判が起こされた結果、
例え内縁関係でも、倫理性に問題が無ければ受給は可能であるとの最高裁判所の判断が下されました。
「遺族年金」については別記事でまとめていますので、是非ご参考になさってください。
>>>※家族が年金の受給前に死亡した場合、遺族に必要な手続きは?
実際に結婚したいという方はそういないと思いますが、是非今回の記事が参考になれば幸いです。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)