家族に不幸があった場合のことを考えて、その際に必要な手続きと、どのような保証を受けることが出来るのか知っておくことは大切です。
例えば、もしも「夫:妻:娘:息子」という4人家族構成で、働いている夫がまだ年金の受給前に死亡してしまった場合、
遺族は、以下のいずれか、またはその複数を受け取ることが出来ます。
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- 遺族基礎年金
- 寡婦(かふ)年金
- 死亡一時金
- 遺族厚生年金
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先に結論から言うと、自営業の夫が亡くなった場合には、家族に「遺族基礎年金」が支払われる可能性があります。しかしそのためには、妻に18歳未満の子供がいるか、20歳未満の障害年金の障害等級1級または2級の子がいるといった条件に該当している必要があります。
夫が自営業であったものの、この条件に当てはまらない場合には、「寡婦年金」か「死亡一時金」のいずれか一方を貰うことが出来ます。つまり、寡婦年金と死亡一時金は遺族基礎年金を受け取ることが出来ない方に対する救済措置としてあるものなのです。
一方、自営業ではなく、サラリーマンや公務員などの厚生年金加入者であった夫が年金受給前に亡くなってしまった場合には、条件付きで遺族に「遺族厚生年金」が支払われる可能性があります。また、先に説明した条件をクリアすれば、遺族基礎年金の方も併せて支払われる可能性があります。
先にざっと概要だけ説明しましたが、いまいちよくわからない方もいると思いますので、今回の記事でできるだけわかりやすく解説いたします。
国民年金の「被保険者」の種類について
まず初めに知っておかなければならないのは、国民年金の被保険者の種類についてです。
現在の日本では、20歳以上60歳未満の方は全員国民年金に加入する義務があり、40年にわたって保険料を納める必要があります。そして、原則として65歳から年金を受け取ることができ、支給開始時に決定した金額は、亡くなるまで原則ずっと変化せずに支給されます。(未納の期間があったり、60歳からの繰り上げ需給等を選択されると、受給額は減額となります。)
ただ、国民保険の加入形態は人それぞれに違います。自営業の方は基本国民年金のみの加入となりますが、例えばサラリーマンの方は厚生年金に入ることになります。そしてこの厚生年金加入者が納付する保険料に国民年金の分も含まれているのです。
こういった状況を考慮すると、日本の年金の被保険者は3つのタイプに分けることが出来ます。
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- 第一号被保険者:日本在住の20歳から40歳の自営業者。農業、漁業従事者に加え、学生か無職者(第三号被保険者を除く)が該当します。
- 第二号被保険者:サラリーマンや公務員等。厚生年金に加入している方が該当します。
- 第三号被保険者:第二号被保険者に扶養されており、原則として年収130万円未満の20歳から60歳未満の方が該当します。
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4人家族の夫が年金受給前に死亡した場合、家族が受け取れる保証金とは?
以上を踏まえた上で説明しますと、
例えば4人家族の場合で、死亡してしまった夫が生計に必要なお金を稼いでいた場合、
その夫は、第一号被保険者か、第二号被保険者のいずれかということになるでしょう。
ではここで、改めて
遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金、遺族厚生年金の概要と受給資格をまとめると、以下のようになります。
遺族基礎年金 | 寡婦年金 | 死亡一時金 | 遺族厚生年金 | |
概要 | (1)国民年金に加入中の人
(2)国民年金に加入していた人で、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人 (3)老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある人 が死亡した場合に、遺族に支払われる国民年金の給付です。 |
国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が10年以上ある夫が亡くなった時に、10年以上継続して婚姻関係にあり、生計を維持されていた妻に対して60歳から65歳になるまでの間支給されます。 | 国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなった時、その方によって生計を同じくしていた遺族に支給されます。 | 厚生年金に加入している人が、
(1)在職中に死亡した場合 (2)在職中に初診日のある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡した場合 (3)障害等級1級または2級に該当する障害厚生年金の受給者が死亡した場合 (4)老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人が死亡した場合 に遺族に支払われる年金です。 |
対象者 | 死亡した者によって生計を維持されていた、
(1)子のある配偶者 子とは次の者に限ります ●18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子 ●20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子 |
概要の通り、妻に対して支給されます。
※妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合は支給されません。 |
遺族とは
1・配偶者 の中で優先順位の高い方に支給されます。 |
死亡した者によって生計を維持されていた、
妻 子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者) 55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる。) ※30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付となります。 ※子のある配偶者、子(子とは18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者に限ります)は、遺族基礎年金も併せて受けられます。 |
支給額 | 779,300円+子の加算
子の加算 第3子以降=各74,800円 (注)子が遺族基礎年金を受給する場合の加算は第2子以降について行い、子1人あたりの年金額は、上記による年金額を子供の数で除した額。 |
年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3。 | 死亡一時金の額は、保険料を納めた月数に応じて120,000円~320,000円です。 | 夫の年金額の3/4(詳しくはこちらをご覧ください。) |
文章引用元:日本年金機構
どうしても条件などが沢山あり、読みづらくなってしまうのですが、
まず初めに重要なのは、遺族基礎年金を受け取ることが出来る要件を満たしているかどうかの確認をすることです。
これに該当する場合には、遺族基礎年金を受け取るための手続きの準備をしましょう。
そして、遺族基礎年金の条件に該当しないことが分かった場合には、
夫が自営業だった場合には、寡婦年金、死亡一時金のどちらをもらうかを選び、手続きを行いましょう。
どちらを選んだ方が良いのかというのは、こちらの記事がとても参考になります。
そして、もしも夫がサラリーマンや公務員だった場合には、
遺族厚生年金の受給資格を満たしているか確認し、該当すれば受給のための手続きをしましょう。
また、もう一度申し上げますが、厚生年金加入者は国民年金加入者でもありますので、
条件に該当すれば、遺族厚生年金に加え、遺族基礎年金を受給できる可能性もあります。
必要な手続きについて
上記の保証の手続きを行いたい方は、まずは各自お住まいの市町村の役所に連絡を入れるか、一度相談に行ってみてください。
基本的には、各役所ごとに年金に関する課が設けられていますので、そちらで手続きを進めることになります。ただし、加入していた年金の種類によってお手続きの場所が異なる場合がありますので、まずは一度相談をすることが大事です。
また、その際必要なものについて指示されるかと思いますが、
例えば
- 亡くなった人の年金手帳及び住民票の除票
- 請求者の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
- 世帯全員の住民票の写し
- 受け取りを希望する金融機関の預金通帳、
- 印鑑
- 個人番号(マイナンバー)が確認できるもの
などが必要になりますので、これについても担当の方によく聞いてみるようにしましょう。