【香典】【霊前】【仏前】の3つの違いについて

どなたかの通夜や葬儀に出席される際に、金銭を包んでお渡しする風習が日本にはありますが、

その際これを香典と呼び、

実際に表書きとして

御香典」と書かれた不祝儀袋をお渡しする方もいらっしゃるでしょう。

ただし、基本的には御香典として金銭を包む場合、その表書きは

御霊前」とするのが一般的です。

また、その他金銭をお供えする際には

御仏前」と書く場合もあります。

そこで今回の記事では、この3つの意味の違いについて詳しく解説いたします。

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目次

「香典」とは?

香典」とは、本来は仏前に線香を供えることを言いましたが、

その習わしが次第に変化し、今では香典と言えば金銭を包んでお渡しすることを意味するものになりました。

線香やお花の代わりに金銭をお供えすることは、急な不幸で出費がある遺族の方の助けになるようという意味も込められています。

実際に香典として金銭を包む場合、その表書きは「御香奠」とするのが本来正しい書き方です。これで「おこうでん」と読みます。

[aside type=”yellow”]上の画像のものは一般的によく見かけるもので、「奠」の上が草冠のようになっていますが、これは書体に依存した変化であり、漢字自体は同じものです。[/aside]

この「奠」は供えるという意味の言葉であり、「香」は線香のことですので、

「香奠」と書けば線香を供えるという意味になります。

ただし「奠」は常用漢字ではないことから、一般的には「香典」という文字の方をよく目にするかと思いますが、

もしも実際に自分で表書きを書く場合には「御香奠」と書くようにしましょう。

「霊前」とは?

霊前」とは、読んで字のごとく「霊の前」ということ。

実際に香典として金銭を包む場合に、最もよく見受けられる表書きがこの御霊前でしょう。

ではこれはなぜかというと、実は仏教の習わしでは、故人は死後四十九日は霊として存在し、四十九日経ってようやく仏になると考えられているためです。

そのため、霊の前に供えるということころから、亡くなって間もない通夜や葬儀の場で金銭を包む場合には御霊前とするのが一般的です。

「仏前」とは?

先ほどの説明を読んでいただければ「仏前」の意味はすぐに分かるでしょう。

つまり「御仏前」と書いて金銭をお供えする場合というのは、亡くなってから四十九日が経ち、故人が仏となった後ということです。

そのため、一年忌などの法事の際に金銭をお供えする場合には、御仏前と書くと良いということになります。

ちなみに、御仏前の「仏」は旧字で「佛」と書きますので、御仏前と御佛前はどちらも意味は同じです。

ただし、ここからが覚えておきたいポイントなのですが、

仏教の宗派によっては、通夜や葬儀の場にもっていく不祝儀袋に「御仏前」と書いた方が良い場合もあります。

例えば、仏教の宗派の1つである浄土真宗では、人は死後すぐに仏になるものと考えられているため、故人が生前浄土真宗を信仰していた場合には御香典の表書きは御仏前とします。また、同じく曹洞宗でも常に御仏前とします。

仏教には以下のような宗教がありますので、皆さんの身の回りの方はどのような宗派を信仰しているのかよく確認なさってみてください。

宗派
奈良仏教 法相宗
華厳宗
律宗
密教 天台宗
真言宗
浄土教 融通念仏宗
浄土宗
浄土真宗
時宗
禅宗 臨済宗
曹洞宗
黄檗宗
日蓮宗

最後に

今回の記事では、香典、霊前、仏前のそれぞれの意味の違いについてご説明いたしました。

まとめると、もしも通夜や葬儀の場に香典を持参される場合には、その3つのどれでも書ける可能性があります。

ただ、基本的には「御霊前」と書かれたものを持参することになるでしょう。

大切なのは気持ちですが、マナーとして間違えてしまうのはやはり避けたほうが良いので、故人の宗派なども考慮しながら一番適したものを用意なさってください。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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