「お歳暮」とは、日ごろからお世話になっている相手に対して、お礼として1年の締めくくりに贈るものです。
日本では江戸時代よりお歳暮を送る習わしが根付いており、
「お中元」と併せて、身近な人に感謝の意を伝える2大行事の1つとして知られています。
[aside type=”yellow”]※お中元とは?
日頃からお世話になっている方々に「半年間」の感謝の気持ちと、健康を願う気持ちをあらわすために品物を贈る風習です。
一般的には、7月初旬から8月中旬の時期にかけて贈ります。
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ただ、お歳暮は年末の12月10~20日が贈答のシーズンとされているのですが、
ここで問題になるのが、相手や自分が
「忌中」もしくは「喪中」の期間にある場合です。
つまり、身内に不幸があり、身を慎んでいる期間は、お歳暮を贈る場合でも気をつけなければならないことが何点かあります。
そこで今回の記事では、その注意点について詳しくお伝えいたします。
「忌中」と「喪中」とは?
そもそも「忌中」と「喪中」とは何か?というところからまず確認しましょう。
特に「喪中」の方はよく知られていると思いますが、
こちらは一般的には、身近な人が亡くなってから1年間のことを言い、故人の死を悼み、喪に服すべき期間とされています。
ただし、喪中には1年間という絶対の決まりはなく、亡くなった方が身近な人であれば誰であっても喪に服さなければならないというわけではありません。
例えば、一般的には自分から数えて2親等内の方が亡くなった場合に喪中とする方が多く、
2親等内とは、以下のような関係性にある方々のことを言います。
- 1親等:親、子
- 2親等:兄弟姉妹、祖父母、孫
ただし近年では、例え2親等である祖父母であっても、生前に同居されていない場合は喪中としないご家庭も増えているようです。
また、逆に3親等以上離れている相手でも、生前親しくしていた相手が亡くなられた場合に喪中とするのはもちろん問題ありません。
そして一方「忌中」とは、身近な人が亡くなった場合により厳しく身を慎み、故人を悼むべきとされる期間のことを言い、
一般的には、仏式では49日間、神式では50日間のことを忌中と呼びます。
この間は神社などへの参拝も避けるべきであるとされており、七五三などで神社に参拝したい場合には少なくとも忌中明けが良いとされています。
以上をまとめると、
生前親しくしていた親族が亡くなってから49日間を忌中とし、1年間を喪中とするのが一般的です。
以上を踏まえた上で、次にお歳暮を贈る際の注意点について解説いたします。
「忌中」「喪中」にお歳暮を贈る際の注意点
では、自分又は相手が「忌中」か「喪中」の場合、お歳暮を送りたい場合にはどうすれば良いのかというと、
まず、1番重要なことが、
忌中の間はお歳暮のやり取りは避けたほうが無難であるということです。
まず、前提として忌中や喪中に避けなければならないことは、
「お祝い事」をすることです。
その点、お歳暮とは相手に感謝の意を伝える習わしですので、お祝い事ではないのですが、
例えば相手の忌中にお歳暮を贈ることは、贈られた側にとって負担となる可能性がありますので出来れば避けたほうが良いでしょう。
ただし、既に忌中の期間は過ぎており、喪中であるという場合には、基本的にはお歳暮を贈っても問題ありません。
ただし贈る際の品物につける「のし紙」の決まりには気を付ける必要があります。(後述します)
ただ、記事の冒頭でお歳暮を贈る期間は大体12月10日~20日が目安であるとお伝えしましたが、
例えばちょうどその期間が忌中と重なってしまうという場合には、
1月7日(地域によっては1月15日)の松の内(門松などの正月飾りを飾っておく期間)が明けてから、寒中見舞いとして贈ると良いとされています。
「寒中見舞い」とは本来、厳寒期にはがきで互いの近況報告を行う古くからの習わしのことを言うのですが、
寒中見舞いの役割はそれだけではなく、
今回の「お歳暮を贈る」という目的と併せて、以下のような場面で送ると良いとされています。
- 季節の挨拶
- 1月7日までに返せなかった年賀状へのお返事
- 喪中の方への挨拶(喪中はがきへの返事)
- 喪中にもらった年賀状への返事
- 喪中と知らずに出してしまった年賀状のお詫び
例として、季節の挨拶としては以下のように書いて送ります。
もしも相手が年末に忌中となり、お歳暮を送れなかった場合には、
次に説明する点に気をつけながら「寒中見舞い」としてお歳暮を贈りましょう。
なお「寒中はがき」の他の例については別記事の方で解説しています。
>>>【寒中見舞い】はいつまで出せる?形式や例文についても解説!
「喪中にお歳暮を贈る場合」「忌明けに寒中見舞いとして贈る場合」の「のし紙」の注意点
例えば6月に故人がお亡くなりになられた場合、年末には忌中は終わっていますので、お歳暮のやり取りをすること自体には問題がありません。
ただし、お歳暮を贈ること自体には問題ありませんが、その際に贈答品につける「のし紙」には注意したほうが良いとされています。
まずそもそも「のし紙」とは何か?というところから説明すると、
お歳暮として贈るものには、上の画像の例のように「御歳暮」と書かれた紙をつけて贈りますが、
- この紙の右上の6角形の飾りを
「熨斗(のし)」と呼び、 - 品物を結ぶような帯紐の飾りを
「水引(みずひき)」と呼び、 - それらの飾りがついた紙自体を
「のし紙」と呼びます。
「のし紙」は別の呼び方で「掛紙(かけがみ)」とも呼ばれます。
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正式な場合には、奉書紙(白い和紙)に水引、熨斗(のし)を用いますが、
現在では親しい間柄の方に送る場合には既にのしや水引が印刷されているものを張り付けて贈ります。
なお、現在では掛紙を簡略化した短冊をつけて贈ることも一般的になっています。
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ただ、このうち「のし」と「水引」はお祝いの気持ちを意味するものであるため、例えば特に喪中の相手に送る場合はふさわしいものではありません。
そのため、もしも喪中の相手にお歳暮を贈る場合には、無地の奉書紙か白い短冊を使うようにします。
つまり、通常は以下のようなのし紙や短冊をかけて贈りますが、
喪中の場合には、以下のようにして贈る方が望ましいということです。
また、忌明けに寒中見舞いとして贈る場合にも、以下のような無地の掛紙や短冊をかけて贈りましょう。
最後に
今回の記事まとめると、今回の記事でお伝えしたい注意点は以下の3点です。
- 一般的に、故人が亡くなってから49日間を忌中とし、1年間を喪中と考えること。
- 忌中の間はマナーとしてお歳暮を贈らない方が良いものの、忌中が過ぎた喪中であれば問題ないということ。
- 「喪中にお歳暮を贈る場合」または「期明けに寒中見舞いとしてお歳暮を贈る場合」には「のし紙」に気を付けること。
特に、目上の方にお歳暮などを贈る際には、是非今回の内容を参考にしていただき、失礼無くお渡しできるようにお気を付けください。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)