「夫婦や親子の関係を公的に示すための情報」を戸籍と呼びますが、
この戸籍の情報を全て書面として写したものが、戸籍謄本と呼ばれるものです。
「謄本」という言葉には「原本の内容を全部書き写した文書」という意味があります。
例えば、
- 山田太郎(父)
- 山田花子(母)
- 山田一郎(子)
という家族がいた場合、その戸籍謄本を取得すると以下のようになります。
この戸籍謄本はそこに記載されている人物の身分を証明するためのとても重要なものであり、
結婚をする際や、パスポートを申請する際などに必要になります。
そして今回お話しするのは、その戸籍謄本の一番上に記載されている「本籍」の場所を変える手続きの方法です。
この本籍とは「戸籍を作った際に登録する住所」のことであり、日本に存在する戸籍にはすべて本籍として特定の住所が登録されています。
この本籍の住所をどこにするかというのはとても重要なことで、
いざ戸籍謄本を役所の窓口で取得しようと思っても、窓口での取得は本籍を管轄する市区町村の役場でしか対応していないのです。
そのため東京から北海道に引っ越した場合で、本籍地を東京の住所のままにしている場合には、北海道の市区町村役場では戸籍謄本を取得することが出来ません。もしも北海道で戸籍謄本を取得出来るようにしたい場合には、本籍を変える手続きをする必要があるのです。
そこで今回の記事では、本籍を変える手続きの方法を画像付きで解説いたします。
本籍を変える手続きの方法について
本籍を変える手続きの方法は意外と簡単で、
- 「現在の本籍地」を管轄する役場
- 「変更後の本籍地」を管轄する役場
- 「住民票を置いている現住所」を管轄する役場
のいずれかの場所に足を運んで、転籍届を記入して提出するだけです。
なお転籍届の届出人の欄には、筆頭者(主に夫)と配偶者(主に妻)の両方のサインと、夫婦で別々の印鑑による押印が必要になります。
ちなみに転籍届はどこの役場にでも用意してありますが、自宅でダウンロードしたものでも問題ありません。
ただしA4サイズのみ提出可能で、感熱紙は不可となってますのでご注意ください。
また、転籍届の様式自体には決まったものがないため、どこの市町村役場のホームページからダウンロードしたものでも大丈夫です。
例えば「転籍届 ダウンロード」と御検索いただくと、ダウンロード用のファイルがあるホームページが出てきますので、そういったページからダウンロードしてご記入ください。おそらくこちらのページが検索結果の一番上に出てくるかと思いますが、こちらは札幌市のホームページです。
また、転籍届を実際に提出する際には以下のものが必要となります。
[aside type=”yellow”]
- 転籍届1通
- 戸籍謄本1通(同一市区町村内で転籍する場合は不要)
- 夫婦で別々の印鑑(シャチハタ不可)
- 本人確認ができる身分証明書
[/aside]
実際に届け出をする際には、何か修正すべき点が見つかった際にもすぐ対応できた方が良いので、なるべく夫婦揃って行くようにしましょう。
また、転籍届に必要事項を記入する際には、必ず直筆でお書きください。
転籍届の記入例について
札幌市のホームページからダウンロードした用紙を例に、実際の記入例をご紹介しておきます。
なお、札幌市のホームページにも記入例がありますので、もちろんそちらも参考にしてください。
[aside type=”boader”]※補足※
- 上の例では「山田太郎(父)」「山田花子(母)」「山田一郎(子)」で構成される戸籍の本籍を「東京都○○区3丁目5番地の1」から「札幌市○○区5丁目1番地の5」へ変更する例をもとに作成しています。
- なお、山田一郎は現在茨城県のアパートで1人暮らしをしているという設定で作成しています。また、山田一郎は住民票を茨城県の方へ移しているため、世帯主は山田一郎本人となっています。
- また「番」と「番地」の違いがよくわからないという方もいらっしゃるかもしれませんが、最後に「号」とつく住所の方は「番」を選んでください。上の例でいえば、山田一郎は茨城県○○市4丁目1番の1号にあるアパートに住んでいます。
[/aside]
戸籍と世帯の違いについて
もしかすると曖昧な方もいらっしゃるかもしれないので、戸籍と世帯の違いについてもここで解説させていただきます。
戸籍については記事の冒頭でもご説明いたしましたが、
世帯とは住民票に登録されている情報であり、
簡潔に説明すると「生計を共にする集団」のことを世帯と呼びます。
これだけだと戸籍と世帯の違いが見えてきませんが、
世帯とはあくまで一緒に暮らしている人物(生計を共にしている人物)からなる集団のことを言うため、必ずしも家族とは限りません。
例えば友人3人と一緒の部屋で暮らす場合にはその3人の世帯を1つにまとめることもできますし、逆に3人が同じ部屋に住んでいても3つとも別の世帯として登録することも可能です。
また、住民票と戸籍の情報を一言で説明するなら以下のような意味になります。
- 「住民票」・・・個人の居住関係を公的に証明するための文書
- 「戸籍」・・・夫婦や親子の関係を公的に証明するための文書
そして、ある住所で1つの世帯がある場合、その世帯の代表者1人を世帯主として決める必要があり、例えば一人暮らしをしている場合にはその一人暮らしをしている本人が世帯主として登録されています。
つまり今回の例では、
山田太郎、山田花子夫妻は同じ家に住んでいるので、その住所における世帯主(代表者)の欄は山田太郎となっており、
山田一郎は一人暮らしをしていて、住民票も茨城県の方に移しているため、世帯主は山田一郎となっています。
世帯(住民票)と戸籍の情報はどちらも重要なものですが、
例えば山田一郎が住民票を移動させたからと言って、それが戸籍の情報に影響することはありません。
最後に
今回の記事では、戸籍に登録されている本籍を変える手続きの仕方(転籍届の記入例)を画像付きで解説いたしました。
戸籍謄本は郵送でも取り寄せることが可能ですが、もしも何らかの理由から本籍を移動させたい場合には今回のの内容を参考に手続きを行ってください。
なお、戸籍謄本の4つの取得方法については以下の記事で詳しく解説しています。
>>>【代理人受取や郵送もOK!】戸籍謄本のもらい方について解説!
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)