【解説】「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の違いについて

「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」は、どちらも身内に不幸があった際に受け取ることが出来る保証金です。

ただ、これらを受給するためにはいくつかの条件に該当している必要があり、特に遺族基礎年金の方はその条件が厳しいものとなっています。

また、遺族基礎年金と遺族厚生年金の違いがよくわからないという方もいると思いますが、

例えば夫が稼いで生計を立てていたご家庭の場合、

自営業の夫(つまり厚生年金未加入者)が亡くなられた際に受給できる可能性があるのが遺族基礎年金であり、サラリーマンや公務員など、厚生年金加入者の夫が亡くなられた際に遺族が受け取ことが出来る可能性があるのが、遺族基礎年金と遺族厚生年金です。

すなわち、もしも亡くなった夫が厚生年金加入者であった場合、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給できる可能性があります。

そこで今回の記事では、もし実際に受給対象者になった際の為にも、ここでその違いや概要について詳しくまとめます。

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目次

遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い

先ほど申し上げましたように、自営業の夫、すなわち国民年金のみに加入してる夫が亡くなられた場合に受給できるものが遺族基礎年金であり、厚生年金に加入している夫が亡くなられた際に受給できるものが、遺族基礎年金と遺族厚生年金です。

厚生年金加入者は、毎月自営業の方よりも多くの保険料を支払うことになっていますが、この中には国民年金の分の保険料も含まれていますので、条件に該当さえすれば、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給できる可能性があるのです。

そもそも現在の日本の法律では、日本に住む20歳以上60歳未満の方は全員国民年金の加入が義務付けられており、原則として65歳から年金の受給が始まります。ただ、60歳から年金をもらうことが出来る繰り上げ受給などの制度もあり、現在の日本では約3割の方が国民年金の繰り上げ受給を選択されています。

遺族基礎年金と遺族厚生年金は、名前は似ていますが、その条件には大きな違いがあります。

遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給条件について

遺族基礎年金遺族厚生年金とでは、遺族基礎年金の方の受給条件が特に厳しいものとなっており、例えば夫が亡くなられた場合でも、子供がいない場合などには受給されないこととなっています。

遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給条件については、以下をご参照ください。

遺族基礎年金の受給条件と受給額

下記の3つのいずれかの条件に該当する方が亡くなられた場合に、子を持つ妻、もしくは子に対して遺族基礎年金が支払われます。(※子とは18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子です。)

  1. 国民年金の被保険者
  2. 国民年金の被保険者であったもので、日本国内に住み、60歳以上65歳未満の方
  3. 老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある人(老齢基礎年金をもらっている、又はもらえる資格がある方)

この際、1,2の条件の方は、下記のいずれかの要件も満たしている必要があります。

  • 死亡日の前々月末までに被保険者義務機関の3分の2以上の保険料を納めていること
  • 死亡日の前々月末までの1年間に滞納がないこと

受給額は、年額779,300円+子供の数×224,300円となります。ただし、第1子、第2子までは224,300円となりますが、第3子からは74,800円となります。(つまり、18歳未満の子供が3人いるご家庭の場合、年間779,300+224,300+224,300+74800円の遺族基礎年金が妻に支払われます。)

遺族厚生年金の受給条件と受給額

厚生年金加入者が、下記の4つのいずれかの条件に当てはまる場合で亡くなられた場合に、妻、子、父母などの、亡くなった方によって生計を維持されていた遺族に対して支払われます。

  1. 在職中に死亡した場合
  2. 在職中に初診日のある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡した場合(つまり死亡時が退職後でも可)
  3. 障害等級1級または2級に該当する障害厚生年金の受給者が死亡した場合
  4. 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人が死亡した場合

受給額は、夫の老齢厚生年金の4分の3となっています。

遺族基礎年金、および遺族厚生年金がいくらもらえるかというシミュレーションをしたい方は、こちらの記事がとても参考になりますのでご参照ください。

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遺族基礎年金をもらえない場合の救済措置

遺族基礎年金は、妻に子供がいない場合や、子供がすでに19歳以上(18歳になった年度末まで対象)になっている場合などには支給されません。

しかし、こういった場合における救済措置として、遺族基礎年金をもらうことが出来ない場合には、

  • 寡婦(かふ)年金
  • 死亡一時金

という保障のいずれか一方を受け取ることが出来ます。

寡婦年金

寡婦年金とは、妻が60歳から65歳になるまでの間、夫の老齢基礎年金の4分の3がもらえる保証のことです。ただしこの場合には、妻が繰り上げ受給をしていないことが条件となります。(※繰り上げ受給とは、原則として65歳から受け取るべき老齢基礎年金を、60歳から受け取ることが出来るシステムのことです。)

死亡一時金

死亡一時金とは保険料を納めた月数に応じて受給することが出来る、120,000円~320,000円の保証のことです。

もう一度申し上げますが、寡婦年金と死亡一時金は、そのどちらか一方しか受け取ることが出来ません。寡婦年金と死亡一時金のどちらを選ぶべきかというのは、こちらの記事がとても参考になります。

まとめ

今回の記事では、遺族基礎年金と遺族厚生年金の違いについてまとめました。

遺族基礎年金と遺族厚生年金という2つがあることが分かると、対照的なものとして思ってしまいそうですが、

厚生年金加入者の方は、場合によってはその両方を受け取ることが可能です。

もし受給を検討されている方は、その条件をよく確認し、不明な点がある方は各役所の担当の方によくご相談してみてください。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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