日本には贈り物をしたり、仏前に品物を供えるというような風習がいくつもありますが、皆さんは普段からどのくらいそういったもののやり取りをしていますか?
例えば代表的なものと言えるのが、7月~8月に贈る御中元と、12月に贈る御歳暮です。
御中元はその年の半年間の感謝の意を伝えるためのもの、
そして御歳暮はその年の一年間の感謝の意を表すものとして、江戸時代には一般的な風習として全国に広まりました。
その他には、先祖へのお供え物をする風習としてお彼岸も挙げられます。お彼岸の時期は3月と9月の年2回訪れます。
また、その他の法事法要や、お盆にも果物やお菓子などのお供え物を持ってご実家に帰省される方も多いでしょう。
その他、お誕生日、父の日、母の日、クリスマス、バレンタインデーやホワイトデーなど、数えてみると何かを贈るというような風習は沢山あります。
そして、もう1つ贈り物をする風習として忘れてはならないのが、年初めに贈る御年賀です。
ただし、年末に贈る御歳暮と、年始に贈る御年賀とでは、間隔も狭いですし、両方とも贈るべきものなのかと頭を悩ませている方も多いでしょう。
そこで今回の記事では、御歳暮と御年賀それぞれの違いと、両方とも贈るべきものなのか詳しく解説いたします。
「御歳暮」と「御年賀」の違いとは?
「御歳暮」と「御年賀」は、どちらも普段からお世話になっている方に贈り物をする風習ですが、その起源には違いがあります。
まず「御歳暮」ですが、こちらは中国で季節ごとに天の神を祀ってお供えものをする風習が最初の起源とされており、
中国では、旧暦の1月15日を上元、旧暦の7月15日を中元、旧暦の10月15日を下元と呼び、それぞれが3人の神様の誕生日されていました。
そして、その風習が日本へと伝わると、そこで日本古来の行事であった
「御霊(みたま)祭り」と混ざり合います。
御霊祭りとは、お盆や年末年始に先祖の霊を祀る行事のことで、日本ではもともとお盆の時期や年末年始には先祖の霊が帰ってくると考えられていたのです。
ただし、新年を迎えるということはおめでたいことであり、そこから死者をお迎えするという概念が少しずつ切り離されていった結果、夏に御中元を贈り、そして年末に御歳暮を贈るという風習が段々と定着していったという背景があります。
また、お盆と混ざり合ったとは言いますが、おそらく今ではお盆のお供え物とお中元は別々に持参している方が多いと思いますので、日本の御中元と御歳暮は中国の行事を起源としていますが、日本で新たに生まれた文化であると言えますね。
そして今では、御中元と御歳暮と言えば、普段からお世話になっている方々に対して感謝をこめて贈り物をする習わしへと変化しました。
一方「御年賀」の起源は、新しい年の神様(年神様)をお迎えして祀るという習わしに由来しており、
年始のご挨拶として互いの家を訪問する際には、年神様を祀る神棚や仏壇などへお供えするためのものを、
「御歳魂(御年玉)」と称してを持っていく風習が日本にはありました。
しかし、いつしかその風習も段々と変化していき、
その結果、子供へは「御年玉」をあげるようになり、訪問した家人には「御年賀」と称して手土産をお渡しするようになったのです。
まとめると、お歳暮と御年賀の違いはそれぞれ以下のようになります。
- 御歳暮:その年1年間の感謝をこめて、日ごろお世話になっている方へ贈る物。
- 御年賀:新年が無事明けたことを祝い、またその年1年間のお付き合いを願い贈る物。
そして、もともとお歳暮は御先祖様に供えるためのもの、御年賀は年神様に供えるものであったという違いがあります。
御歳暮と御年賀は両方とも贈るべき?
御歳暮と御年賀の両方のルーツを辿ってみると、この2つには色々な違いがあることがよくわかりますよね。
ただし、普通はこういった起源などは知らない方がほとんどですし、
御歳暮も御年賀も、普段からお世話になっている方に贈るものというくらいの認識が一般的で、実際今はそのように変化しました。
そして、そうするとお歳暮と御年賀は両方とも贈るべきものなのかと悩む方も多いと思いますが、
その家の事情やしきたりもあるとは思いますが、旧年の感謝、新年のお付き合いを願うという意味では、両方とも贈った方が丁寧ではあります。
ただし、実際皆が皆そうしているかというとそういうわけでもなく、中にはどちらか一方を贈るとしている家庭も多いようです。
特に、年末年始にはご実家などに帰られる方も多いと思いますが、例えば帰省するのが年始であるならば、実際に手土産として持参するかたちで持っていけるのは御年賀ですので、御歳暮は送らずにその御年賀だけを渡すというかたちにしているご家庭もあるようです。
また、御歳暮や御年賀では食べ物を贈る方が多いと思いますが、
ただでさえ貰い物が多い家だと、両方とも贈られるのは逆に困ってしまうということもあるかもしれません。
結論としては、御歳暮と御年賀を両方とも贈ることはもちろん良いことですし、どちらか一方に絞っても、感謝の意さえ伝わればそれはそれほど失礼なことではありません。一般的な心理として、もらう方も両方もらってしまうと少し気が引けるかもしれませんしね。
そのため、例えば結婚をして、配偶者のご実家に両方贈るべきか否かで悩んでいるなら、その家ではどのようなしきたりだったのかを配偶者や配偶者の家族に詳しく相談して決めましょう。
ちなみに参考程度に記しておきますと、筆者の家では御歳暮と御年賀の両方を贈るようにしています。
筆者の場合は家も近いのでどちらも持参していくことができますが、特に御年賀の方は持参して手渡しをするのがマナーとされていますので、これから贈るようにしたいという方は是非そのあたりにも気を付けてみてください。
最後に
今回の記事では、御歳暮と御年賀の違いや、両方贈るべきか否かという部分について詳しくまとめました。
御歳暮と御年賀は時期が近いので両方贈るべきか悩むものですが、
1年間の感謝の意を伝えるもの、新しい1年の変わらぬお付き合いを願うためのものという意味では、両方とも贈った方が丁寧で間違いありません。
どうしてもという事情がない限りは、両方とも贈ってしまった方が安心ですし、もやもやしないで済むかもしれませんね。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)