【解説】結婚後、婿の名字を変えなければならないケースとは?

新たにご結婚される場合、

  • ご夫婦で新しい家に住むか
  • 奥さんが夫の実家に入るか
  • 夫が奥さんの実家に入るか

などなど、結婚後の生活形態にはいくつかのケースが考えられますが、

例えば夫が奥さんのご実家に婿として入るという場合も決して少ない例ではありません。

ただこの際、例えば夫が婿として妻の実家に入る場合でも、

夫は今までの名字を名乗ることが出来ますし、妻も夫の名字に変わることが出来ます。

またその逆で、夫が妻の名字に変わることもできます。

つまり新しく婿になる方から見た場合、以下のような例が考えられるということです。

例1:夫の名字はそのまま

結婚前 結婚後
婚約者の父 渡辺一郎 義父 渡辺一郎
婚約者の母 渡辺花子 義母 渡辺花子
婚約者の女性 渡辺幸子 鈴木幸子
婚約者の男性 鈴木太郎 婿 鈴木太郎

例2:夫の名字を妻の名字に変更

結婚前 結婚後
婚約者の父 渡辺一郎 義父 渡辺一郎
婚約者の母 渡辺花子 義母 渡辺花子
婚約者の女性 渡辺幸子 渡辺幸子
婚約者の男性 鈴木太郎 婿 渡辺太郎

この2つの例は、一般的に十分考えられるごくごく普通のケースですよね。

ちなみに例1の場合というのは、例えばサザエさん一家がまさに良い例であり、サザエさんの家には磯野夫婦とその子供、そしてフグ田夫婦とその子供が一緒に暮らしています。主人公であるサザエさんの名字は夫のフグ田マスオさんからもらった「フグ田」です。

磯野家 フグ田家
磯野波平(54) フグ田マスオ(28)
磯野フネ(52) フグ田サザエ(24)
磯野カツオ(11) フグ田タラオ(3)
磯野ワカメ(9)

ただ、例2のように、夫が婿として妻の実家に入る場合には、夫が妻の名字に変わるときもあります。

そして、これは単純に結婚した際に妻の方を選択された場合と、

もう1つ、どうしても名字を変えなければならない場合があるのです。

では、それは具体的にどういったケースなのでしょうか。

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目次

結婚して婿が嫁の名字になるケースとは?

ズバリ結論から言うと、結婚をして婿が嫁の名字にならなければならない時というのは、その婿が嫁の両親と養子縁組をする場合です。

養子縁組とは「血統の続かない者の間に親子と同じ関係を成り立たせる法律行為」と定義されており、つまり法律上本当に義父母の子どもとなるための手続きのことです。この養子縁組をすると、婿さんは養子となり、義父母の戸籍に入ることになるため、その名字は養親のものを名乗らなければなりません。

これについては民法810条にその記載があり、

実際には

養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。

引用元:民法810条

と記載されています。

「養子は、養親の氏を称する。」と書かれているところからわかりますように、もしも婿が義父母と養子縁組をした場合は、民法810条に基づき名字を変更しなければなりません。

ただ、その後の文章に続きがあるように、時には例外もあります。

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810条における、名字を変える必要のない例外とは?

810条には

ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。

という続きがあります。

「この限りではない」と書かれているところからわかりますように、養子縁組をしても、名字を変えなくて良い場合が存在するということです。

ではそれは具体的にどういう時なのかというと、

例えば最初の例1のように、渡辺幸子と鈴木太郎が結婚して、妻が夫の鈴木の名字をもらったとします。

すると、その日から渡辺幸子さんは鈴木幸子さんとなりますが、

渡辺幸子が鈴木太郎と結婚した場合

結婚前 結婚後
渡辺幸子 鈴木幸子

もしもその後、鈴木幸子さんが、佐藤さんという方の養子になることになった場合、

本来なら養親の名字をとって佐藤幸子になるはずですが、例外として鈴木幸子のままで問題ありませんよということです。

鈴木幸子が佐藤家と養子縁組をした場合

養子縁組前 養子縁組後
鈴木幸子 鈴木幸子

つまり、結婚する時に一度名字が変わっている方は、その後誰かの養子になっても名字を変える必要はないということです。

ただこの例から考えてわかりますように、婿が妻の実家に入る場合には、養子縁組をするなら名字を変えなければならないということが分かりますよね。婿は一度も名字が変わったことがありませんので、その例外には含まれません。

名字が2回変わらなければならないケースとは?

ただ、これは特に妻の方に考えられるケースなのですが、もしかすると世の奥さんの方々の中には、一度しか結婚していないのに、2回名字が変わらなければならないケースに遭遇したことがある方もいるかもしれません。

これはどういうことかというと、

例えば先ほどと同じように、まずは渡辺幸子さんと鈴木太郎さんがご結婚された場合のことを考えます。そしてこの際、やはり渡辺幸子さんは夫の鈴木さんの名字をもらったとします。

渡辺幸子が鈴木太郎と結婚した場合

結婚前 結婚後
渡辺幸子 鈴木幸子

そしてその後、鈴木幸子さんではなく、もしも鈴木太郎さんが佐藤家の養子になることになった場合について考えてみると、

実は鈴木太郎さんは結婚の際に名字が変わっていないため、810条に基づき「佐藤太郎」になる必要があります。

すると、この場合は夫だけではなく、妻もまた佐藤家の名字を名乗らなければならないことになり、佐藤幸子になってしまいます。

鈴木太郎が佐藤家と養子縁組をした場合

養子縁組前 養子縁組後
渡辺幸子 鈴木幸子

つまりこのケースでは

渡辺幸子⇒鈴木幸子⇒佐藤幸子という風に2回名字が変わらなければならないのです。

なかなかこのようなケースに遭遇することはないと思いますが、もしもの時のために是非覚えておきましょう(^^)

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