戸籍謄本は、パスポートを申請する際や、結婚などをする際に必要になる重要な書類です。
「謄本」という言葉には「元の文書を書き写したもの」という意味があるため、
つまり、登録されている戸籍の情報を書き写して作成したものが戸籍謄本です。
そしてそもそも戸籍とは「夫婦や親子の関係を公的に証明するための文書」のこと。
そのため戸籍謄本には、
- あなた
- あなたの配偶者
- あなたの子供
こういった夫婦と親子の関係性や、それぞれの出生の記録などが記載されています。
ただし、1つの戸籍の情報は「親子二代まで」で構成されるという原則があるため、ここがいまいちよくわからないという方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回の記事では、そもそも戸籍とはどのようなものなのか?ということや、
孫が祖父母の戸籍をとることはできるのか否かというところについて詳しく解説いたします。
※後半で詳しく解説しますが孫が祖父母の戸籍謄本をとることは可能です。
戸籍謄本とは?親子二代で構成されるとはどういうことか?
戸籍謄本とは、あなたが誰の子供で、配偶者は誰なのか、子供は誰なのかといった情報を証明するための文書です。
この戸籍謄本は親子二代までの情報で構成されることとなっており、
例えばあなたがもしも未婚の場合には、両親がご結婚された際に作られた戸籍に入っており、
あなたが結婚する際には、改めて夫婦としての新しい戸籍を作りそこへ入籍することになります。
つまり、もしもあなたが未婚の場合には
- あなた
- あなたの父
- あなたの母
という親子二代までの情報で1つの戸籍が作られており、
あなたがご結婚される場合には、あなたは親の戸籍から抜け、
- あなた
- あなたの配偶者
- あなたの子供
という親子二代までの戸籍を作ることになります。
この連続によって、代々親子二代までの戸籍が作られていくのです。
例えば、もしもあなたが
山田一郎という未婚の男性で、
山田太郎、山田花子夫妻の長男として生まれた場合、
その戸籍謄本は、以下の見本のようになります。
また、山田太郎、山田花子、山田一郎の誰が戸籍謄本を取得しても、同じものを取得することが出来ます。
そのため、妻が戸籍謄本をとる場合と、夫が戸籍謄本がとる場合とで、違うものが渡されることはありません。
戸籍を作る際には一番初めに筆頭者と呼ばれる代表を決める必要があり、その筆頭者の名前が一番初めに来るように作製されます。
孫が祖父母の戸籍謄本をとることは可能?
ここまでお読みいただけるよお分かりいただけますように、例えばあなたが戸籍謄本を取得すると、そこに祖父母の情報は書かれていません。
あなたが未婚の場合、例えば父や母の欄にはその親(あなたの祖父母)の名前も書いてありますが、
その祖父母の出生等に関する詳しい情報などは書かれていません。
そのため、祖父母がいつ、どこで生まれたのかといったを知るためには、祖父母の戸籍謄本をとる必要があります。
祖父母の戸籍謄本を取得する機会は普段はあまり無いかもしれませんが、
結論から言って、あなたが祖父母の戸籍謄本を取得することは可能です。
これについては、戸籍法第十条に以下のように記されています。
第十条 戸籍に記載されている者(中略)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。
引用元:戸籍法
ここで、直系尊属、直系卑属という言葉が出ましたが、
「直系尊属」とは、父母、祖父母、曾祖父母といった直系に上へとつながる方のことを言い、
「直系卑属」とは、子、孫、曾孫といった直系に下へとつながる方々のことを言います。
また、これらの存在を直系血族とも呼びます。
これに対して、兄弟姉妹、おじおば、おいめいといった方々は傍系血族と呼ばれます。
家系図で見ていただけると直系と傍系とのつながりの違いが分かりやすいかと思いますので、参考にしてください。
なお以下の家系図では、血の繋がりのある血族を青色で、婚姻関係によって親戚となった姻族を黄色で示しています。
↓クリックすると拡大されます↓
また、法務省の公式HPでは以下のようにご説明されています。
Q6: 戸籍の記録事項証明書(戸籍謄抄本)を請求する場合,どのような手続をする必要がありますか?
戸籍謄本は,本籍のある市区町村に以下の要領により請求する必要があります。詳しくは,請求される市区町村にお尋ねください。
1 請求することができる方
(A) 戸籍に記載されている本人,又はその配偶者(夫又は妻),その直系尊属(父母,祖父母等)若しくは直系卑属(子,孫等)
(B) 自己の権利の行使又は義務の履行のために必要な方
(例えば,亡くなった兄弟姉妹の相続人となった方が,兄弟姉妹の戸籍謄本を請求する場合等)
(C) 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある方
(D) その他戸籍に記載された事項を利用する正当な理由がある方
(例えば,成年後見人であった者が,死亡した成年被後見人の遺品を相続人である遺族に渡すため,成年被後見人の戸籍謄本を請求する場合等)2 請求に必要なもの
(1) 上記1(A)の方が請求する場合
ア 窓口に来られる方の「本人確認」ができるもの(運転免許証,パスポート,顔写真付きの住民基本台帳カード等)
イ 直系親族に当たる方からの請求の際,請求された戸籍に請求者の名前が載っていない場合(例えば,婚姻によって親の戸籍から出て夫婦の新戸籍が作られた子が,親の戸籍の謄本等を請求する場合等)は,請求者が戸籍に記載されている「本人」の直系親族であることを確認できる資料(戸籍謄本等)
ウ 1(A)の方の代理人からの請求の場合は,1(A)の方が作成した委任状
(2) 上記1(B)~(D)の方が請求する場合
ア 窓口に来られる方の「本人確認」ができるもの(運転免許証,パスポート,顔写真付きの住民基本台帳カード等)
イ 1(B)~(D)の方の代理人からの請求の場合は,1(B)~(D)の方が作成した委任状※ 交付請求書の記載から請求の理由が明らかでない場合には,必要な説明を求めたり,追加の資料の提出を求めることがあります。
引用元:戸籍ABC(Q6~ )
孫が祖父母の戸籍謄本の交付を請求することは可能ですが、その際には本人確認の書類と、正式な理由が必要になります。
実際の対応は各市町村ごとに異なる場合がありますので、まずは各市町村の窓口で一度ご相談なさってください。
最後に
今回の記事では、戸籍とはどのようなものなのか、そして孫が祖父母の戸籍謄本の交付を請求することが出来るのか否かという点について詳しくまとめました。
孫は祖父母の直系卑属ですので、正当な理由さえあれば戸籍謄本の交付を請求することが可能です。
ただし、その際には本人確認のための書類や、実際に納得してもらえるような理由が必要になりますので、そのあたりはしっかりと準備しておきましょう。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)