※どっちがお得?【会社員】と【個人事業主】の税金を比較検証!

会社員と個人事業主は、どちらも社会的な生活を行っていくうえで主流な働き方です。

やはり圧倒的に多いのは会社員ですが、自由な働き方を求め、興味関心を追求し、個人で起業する方も段々と増えています。

ただし、そういった働き方で考える際に気になるポイントの1つが、

会社員と個人事業主とでは税金面でどれだけの差が生じるのかというところでしょう。

そこで今回の記事では、会社員と個人事業主それぞれにかかる税金の差を比較してみたいと思います。

なお、今回のケースで例として取り上げる人物は、独身の30代男性であると仮定します。

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目次

年間収入400万円の個人事業主の場合

まず初めに、年間収入が400万円の個人事業主の方から見ていきたいと思います。

住民税

住民税とは前年1年間(1月1日~12月31日まで)の所得に応じて課税される税金のことであり、

所得割と均等割の2つから成り立ちます。

住民税
所得割 均等割
前年の1月1日~12月31日の個人所得に対して課税される金額であり、市町村民税6%と都道府県民税4%の併せて10%から成り立ちます。 一律負担であり、各自治体によって金額が異なります。(例:市民税3500円、県民税1500円の合わせて5000円など)

なお、この条件は個人事業主と会社員とで全く同じです。

このうち均等割は一律負担の金額ですので、計算によって求める必要はありません。

現在はどの都道府県でも大体1500円、どの市区町村でも大体3500円となっており、合わせて5000円となるのが一般的です。

[aside type=”yellow”]

例えば東京都の場合、以下のような金額に設定されています。

  • 「都道府県民税」の均等割は1,000円(平成26~平成35の間は1,500円)
  • 「市区町村民税」の均等割は3,000円(平成26~平成35の間は3,500円)

なお、平成26年〜35年までの間は、復興特別住民税が加算されるため1,500円と3,500円となっています。

[/aside]

そのため、求めるべきは住民税の所得割の金額です。

個人事業主の場合、住民税の所得割は以下の式で求められます。

[aside type=”boader”]

  1. 収入 − 経費 =所得
  2. 所得 − 所得控除=課税所得
  3. 課税所得 × 10% − 税額控除=所得割

課税所得は1,000円未満の端数を切り捨て、所得割は100円未満の端数を切り捨てます。

[/aside]

所得控除とは所得から差し引くことが出来る控除のことで、

無条件に適用できる基礎控除(33万円)や青色申告特別控除(最大65万円)等があります。

例として以下のようなものが挙げられます。

  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 青色申告特別控除
  • 生命保険料控除
  • 損害保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寄付金控除
  • 寡婦・寡婦控除
  • 勤労学生控除
  • 障害者控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除

なお、赤色で示したものは所得税と住民税とで控除の額が異なるものです。

例えば所得税の基礎控除は38万円ですが、住民税の基礎控除は33万円となります。

税額控除とは税額を算出した後にその税額から差し引くことが出来る額のことで、税額控除としては以下のようなものが挙げられます。

  • 調整控除
  • 配当控除
  • 外国税額控除
  • 寄附金税額控除
  • 配当割額及び株式譲渡所得割額の控除
  • 住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)

なお、調整控除は住民税のみに適用される税額控除です。

以上を踏まえた上で実際に計算をしてみると、以下のようになります。

※基礎控除、青色申告特別控除を適用させ、社会保険料控除は約44万円で計算しています。
※社会保険料控除は個人事業主の場合、国民健康保険、国民年金等による控除です。(実際に支払った額が控除額)
※今回の例では、税額控除として調整控除2500円のみを適用させます。
※経費は100万円として計算します。

[aside type=”boader”]

  1. 収入 − 経費 =所得
    400万円-100万円=300万円
  2. 所得 − 所得控除=課税所得
    300万円-基礎控除33万円-青色申告特別控除65万円-社会保険料控除44万円=158万円
  3. 課税所得 × 10% − 税額控除=所得割
    158万円 × 10%-調整控除2,500円=15,5500円

[/aside]

そのため住民税の合計は

所得割「155,500円」+均等割「5,000円」で合わせて160,500円となります。

所得税

それでは次に所得税を計算いたします。

なお、所得税は住民税の所得割とほぼ同様の計算式で求めることが出来ます。

[aside type=”boader”]

  1. 収入 − 経費 =所得
  2. 所得 − 所得控除=課税所得
  3. 課税所得 × 税率 − 課税控除 − 税額控除=所得税

課税所得は1,000円未満の端数を切り捨て、所得税は100円未満の端数を切り捨てます。

[/aside]

ただし、住民税所得割の方では税率が10%で固定されていましたが、所得税の方では所得ごとに税率が異なります。

また、税率が上がるほど課税控除額というものも変化し、その課税控除額があることでいきなり所得税が膨れ上がるのを防いでいます。

課税所得金額に応じた税率と、課税控除額は以下のようになります。

課税所得金額 税率 課税控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

以上を踏まえた上で実際に計算をしてみると、以下のようになります。

※基礎控除、青色申告特別控除を適用させ、社会保険料控除は約44万円で計算しています。
※社会保険料控除は個人事業主の場合、国民健康保険、国民年金等による控除です。(実際に支払った額が控除額)
※税額控除はないと仮定します。
※経費100万円として計算します。

[aside type=”boader”]

  1. 収入 − 経費 =所得
    400万円-100万円=300万円
  2. 所得 − 所得控除=課税所得
    300万円-基礎控除38万円-青色申告特別控除65万円-社会保険料控除44万円=153万円
  3. 課税所得 × 税率 − 課税控除 − 税額控除=所得税
    153万円×5%-0-0=76,500円

[/aside]

また、現在は復興特別所得税(2.1%)も徴収されますので、

76,500×2.1%=1,606.5=1,600円(100円未満切り捨て)となり、これも加算します。

そのため所得税の合計は78,100円です。

先に求めた住民税(160,500円)と合わせると

住民税と所得税の合計は238,600円になります。

そのため、社会保険料の負担である約44万円と、この約24万円を、300万円から更に差し引いた金額が手元に残る金額となります。

そうすると、最終的に1年間で純粋に手元に残る金額は約232万円になることが分かりますね。

ちなみに個人事業主の場合、確定申告によって所得税を確定させますが、

その後確定申告のデータは各市町村へと送られ、そこで住民税が計算され、各納付者へと納付書が届けられる仕組みになっています。

そのため、今回は住民税の計算の仕方を説明しましたが、確定申告さえ行っていれば個人が住民税を計算する必要はありません。

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給与収入が400万円の会社員の場合

それでは次に、給与収入が400万円の場合の会社員について計算していきます。

個人事業主と会社員とで大きく異なるポイントが、会社員の場合は住民税の所得割や所得税の計算をする際に、

給与所得控除」という控除が適用されることです。

これは、個人事業主における経費のようなもので、会社員特有の優遇措置であると言えます。

給与収入から給与所得控除を引いた額を「給与所得」と呼びます。

なお、この給与所得控除額は年収によって以下のように変化します。

給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払額) 給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円~3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円~6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円~10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 2,200,000円(上限)

それでは、個人事業主の場合と同様に計算してみましょう。

住民税

住民税が所得割と均等割から成り立つこと、均等割は一律負担であるということは先にお伝えした通りです。

そのため、住民税の均等割はやはり約5,000円です。

なお、給与収入が400万円の場合、給与所得控除は以下のようになります。

[aside type=”boader”]400万円×20%+54万円=134万円[/aside]

これを加味したうえで住民税の所得割を計算すると以下のようになります。

※基礎控除、給与所得控除を適用させ、社会保険料控除は約58万円で計算しています。
※社会保険料控除は会社員の場合、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料等による控除です。(実際に支払った額が控除額)
※今回の例では、税額控除として調整控除2500円のみを適用させます。

[aside type=”boader”]

  1. 給与収入 − 給与所得控除 =給与所得
    400万円-134万円=266万円
  2. 給与所得 − 所得控除=課税所得
    266万円-基礎控除33万円-社会保険料控除58万円=175万円
  3. 課税所得 × 10% − 税額控除=所得割
    175万円×10%-調整控除2,500円=172,500円

[/aside]

そのため住民税の合計は

所得割「172,500円」+均等割「5,000円」で合わせて177,500円となります。

所得税

次に、会社員の場合の所得税を計算します。

※基礎控除、給与所得控除を適用させ、社会保険料控除は約58万円で計算しています。
※社会保険料控除は会社員の場合、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料等による控除です。(実際に支払った額が控除額)
※税額控除はないと仮定します。

[aside type=”boader”]

  1. 給与収入 − 給与所得控除 =給与所得
    400万円-134万円=266万円
  2. 給与所得 − 所得控除=課税所得
    266万円-基礎控除38万円-社会保険料控除58万円=170万円
  3. 課税所得 × 税率 − 課税控除 − 税額控除=所得税
    170万円×5%-0-0=8.5万円

[/aside]

また、現在は復興特別所得税(2.1%)も徴収されますので、

85,000×2.1%=1,785=1,700円(100円未満切り捨て)となり、これも加算します。

そのため所得税の合計は86,700円です。

先に求めた住民税(177,500円)と合わせると

住民税と所得税の合計は264,200円になります。

そのため、社会保険料の負担である約58万円と、この約26万円を、400万円から更に差し引いた金額が手元に残る金額となります。

そうすると、最終的に1年間で純粋に手元に残る金額は約316万円になることが分かりますね。

最後に

今回の記事では、会社員と個人事業主の税金の比較について詳しくまとめました。

最終的な結果をまとめると以下のようになります。

個人事業主 会社員
所得(収入-経費) 給与所得(給与収入-給与所得控除) 300万円(400万円-100万円) 266万円(400万円-134万円)
住民税 160,500円 177,500円
所得税 78,100円 86,700円
住民税+所得税 238,600円(約24万円) 264,200円(約26万円)
社会保険料 約44万円 約58万円
手元に残る額 約232万円(300-24-44) 約316万円(400-26-58)

[aside type=”yellow”]

※社会保険料の約44万円と約58万円の内訳については以下の記事で解説しています。

>>>【個人事業主】と【会社員】の社会保険料の違いを解説!

[/aside]

個人事業主が400万円の収入を手にした場合、会社員が400万円の収入を手にした場合、

両方がどのような内訳で税金を払うことになるのかがよくお分かりいただけるかと思います。

なお個人事業主の場合には、本当に経費として100万円を支払うことになりますが、会社員の為の給与所得控除は、税金の負担を減らすための計算上の差し引きですので、実際にその分が給与収入から差し引かれるわけではありません。

そのため、収入として400万円を稼いだ場合、今回のケースでは会社員の方が多く手元にお金が残ります。

会社員の場合はゆくゆく年金も多くもらえますし、収入面の安定という意味では間違いなく会社員の方が上ですね。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)

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